耐震性能
耐震構造の大切さ
全国で地震が起きるたび、耐震等級(建物の強度)についてのこだわりが強くなります。震災後に報道される避難所生活の過酷さや、家を失い喪失感にみまわれる被災者の方々の声を聞くたびに、家づくりに関わるものとして、震災で辛い思いをする人をできるかぎり減らしたいと思います。
建築基準法では耐震基準が定められています。
耐震等級1・・・数百年に一度程度の地震(震度6強から7程度)に対しても倒壊や崩壊しない。
または、数十年に一度発生する地震(震度5程度)は住宅が損傷しない程度。
一般的な戸建て住宅はこの耐震等級1を満たすよう建築基準法で定められており、これを守っていれば安心なように見えますが、当社はそれでは不十分だと考えています。
なぜなら、「数百年に一度程度の地震(震度6強から7程度)」「数十年に一度発生する地震(震度5程度)」とありますが、気象庁のホームページで過去の地震回数を調べると、過去10年間に震度5-以上の地震は全国で170回以上、震度6強以上の地震も10回あったことが分かります。そもそもの前提条件が合っていなければ基準は意味を成しません。
実際に、2016年4月14日に発生した熊本地震の被害状況報告書では、「耐震等級1」の住宅は40%近くが被害にあっています。(*下図の「2000年6月~」の耐震基準)熊本地震では14日に発生したその日に3回、さらにその後1週間以内に15回も震度5-以上の地震が発生しました。数十年に一度なら耐えられる家でも、15回も揺れたら耐えられなかったということです。

また、シミュレーションではありますが、耐震等級1を基準とし、その半分の性能の0.5からその2倍の性能までの建物を阪神淡路大震災の地震波で揺らしてみた動画があります。この地震波に耐えて残ったのは最後列の4棟と後ろから2列目の右側2棟、すなわち耐震等級1の1.5倍の性能である耐震等級3以上の住宅だけであることが分かります。
引用:wallstat channel(京都大学生存圏研究所)
このことから当社では、全ての家で耐震等級3に相当する耐震性能で建てています。
等級2・・・等級1の1.25倍の性能。
学校や病院など、避難所に指定される建物はこれに準ずる。
等級3・・・耐震等級1の1.5倍の性能。
消防署や警察署など、防災の拠点となる建物はこれに準ずる。
私たちが目指すのは「繰り返し起こる震度6以上の地震でも損壊しない性能」です。倒壊ではなく損壊すらしないことが重要です。なぜなら、構造にダメージを受けてしまった住宅は住み続けることができず、ご家族の資産を失うことになるからです。補助金の交付を受けても、建て直し資金には不十分なことがほとんどです。
さらに、大きな災害の後は建設業者への依頼が殺到するため、数か月~数年待たないと修繕や建て替えができないといった事態が起こります。ちょっとした修復でまた住み続けられる家でも、そのちょっとした修復の工事が半年以上順番待ちになってしまい家に帰れない方もいました。
住まいの最大の目的は「家族の生命と資産を守ること」です。倒壊で命を落とさないことはもちろん、避難所や車中生活で辛い思いをしたり、二重ローンで苦しい資金繰りに悩まさせる方が1人でも減らせるように、最大限の備えをすることが私たち住宅のプロとしての使命だと考えています。
☆島根県の地震被害想定はコチラ ※島根県のHPより引用
断熱性能
健康と断熱の密接な関係
夏の暑さや冬の寒さに耐えることで体が強くなる、と言われていたのは一昔前の話です。最近では住環境が人の健康に与える影響についての研究が進み、寒い家は住む人の健康をおびやかすことが証明されています。
下の図は厚生労働省が発表している人口動態です。特に高齢者の場合、交通事故で亡くなる人の数よりも圧倒的に多くの人が家庭内の不慮の事故で亡くなっています。そしてそれらの事故の多くは冬に発生しています。


従来の日本の住宅では局所暖房といって、人がいる部屋(居室)だけを温めます。すると寒い時期、暖房の効いた部屋は25度以上であるのに対し廊下やトイレ・脱衣室が10度以下と、15度以上もの温度差が生まれます。
入浴の際には、暖かい居室→寒い廊下→寒い脱衣室で裸になり→熱い湯に浸かる、という急激な温度変化で体に大きな負担がかかり、心臓発作や脳卒中を引き起こす「ヒートショック」のリスクが高まります。夜中に布団から出てトイレに行くときや、早朝の起き抜けも同様です。寒い時期に家庭内での事故が増加する原因はこのヒートショックが大きく関係しています。
日本は「暖かい家後進国」
ヒートショックのリスクは世界ではずいぶん前から常識となっていて、多くの先進国では最低室温規定(18~22℃)が設定されています。それ以下の室温になるような住宅は健康リスクが高く、建ててはいけないことになっているのです。

しかし日本にはそのような規制がありません。日本は世界一の長寿国と言われていますが、介護なしで生活できる「健康寿命」は平均寿命よりも男女とも10年も短いことをご存知でしょうか。いくら医学が発達し日本食が健康に良いとしても、住環境が危険レベルでは意味がありません。
断熱性も耐震性と同じぐらい真剣に考える
日本は地震大国ですので、家を建てるときに耐震性能を気にするお客様はたくさんいらっしゃいます。しかし、地震と同じように死亡リスクがある「温熱環境」を気にする方は多くありません。当社では、耐震性能と同じぐらい断熱性能も重視しています。
家を断熱材で包み込み、窓枠や天井、壁や床の継ぎ目部分などの隙間を埋めることで、高断熱・高気密の住宅を提供しています。居室だけでなく、家じゅうどこにいても暖かく、さらに家の中で温められた温度を外に逃がさないような住宅です。
さらに、断熱性能の高い住宅は家族の健康を守るだけでなく、冷暖房費を抑えることができるため環境への負担も家計への負担も抑えることができます。また、健康を保つことで医療費や介護費の軽減にも大きく影響します。
住まいの最大の目的は「家族の生命と資産を守ること」です。地震などの外的要因から命を守るのと同じぐらい、暖かい住まいで健康な生活を守ることも、私たち住宅のプロとしての重要な使命だと考えています。
ZEH (ゼロ・エネルギー・ハウス)への取り組み
当社は国が定める「ZEHビルダー」に登録し、2020年までに新築住宅の多くをZEH仕様で建築することに取り組んでいきます。
ZEHとは、エネルギーを自給自足する住宅のこと。住宅の断熱性能を高くしたり、エコ仕様の住宅設備を採用することで、使うエネルギーを最小限に抑え、太陽光発電などの創エネシステムを搭載して使う以上のエネルギーを創ります。

ZEHには嬉しいメリットがたくさん

光熱費削減
一般的な家庭が年間に支払う電気代は約14万円。それがゼロになれば家計が楽になり、家族や子どものためのお金にまわせます。発電量が使用量以上になり売電した場合はさらに家計にプラスになります。

快適な住環境
断熱性能の高い家は、夏涼しく冬温かく過ごすことができます。家全体が均一な温度になるため、部屋移動の際の温度変化による体への負担を軽減し、ヒートショックなどの疾病を予防します。

災害時対策
保温性が高いゼロ・エネルギー・住宅は災害時に万が一冷暖房が止まってしまってもしばらくは室温を保てます。また、太陽光自家発電+蓄電池を搭載すれば、ある程度の期間、電気設備を使用することが可能です。