祖父の背中は、大きかった。
子どもの私にも伝わった、「人を大切にする」姿勢。
松江・出雲の地で、その想いを受け継ぎ、今、働きやすさという形で育てています。
しまねを育てる——創業者・林谷繁男の言葉
おはようございます!
シンの強い人に憧れる、林谷佳和です。
子どもの頃、祖父の後ろをついて歩いた日々を、今でもよく覚えています。
多くを語る人ではありませんでしたが、祖父のまとう空気には不思議な説得力があり、誰もが自然と背筋を伸ばしていました。
その祖父、林谷繁男が、昭和50年の新聞に語ったのが「しまねを育てる」という言葉。

それは、林谷工業の創業者・林谷繁男が大切にしてきた信念そのものでした。
社員を「家族のような存在」として想い、人を育てることが地域を育てることだと信じていた祖父の想いが、まっすぐに表れています。
その姿勢は、建物づくりという仕事の枠を超えて、今も会社の文化として息づいています。
技術よりもまず人。
働く人を大切にする風土を、私たちはこれからも守り、育てていきます。
制度ではなく、想いが会社を変える
どんなに立派な制度を整えても、それだけで「働きやすい会社」になるわけではありません。
本当に大切なのは、制度の“奥”にある想い——人を尊重する姿勢が、会社の根っこにあるかどうかです。
福利厚生や仕組みはもちろん大事。
でも、それを活かすのは、トップの考え方であり、現場でのふるまいです。
社長や上の立場のものがどんな言葉を使い、どんな背中を見せているか。
そうした日々の積み重ねこそが、働きやすさを形づくり、信頼を育てるのだと思います。
「理念の見える化」は毎朝のラジオ体操から
林谷工業では、毎朝のラジオ体操を大切にしています。
それは、ただの体操ではありません。社員同士が顔を合わせ、互いの存在を感じながら、心と体を整える時間です。
この習慣が、「人を大切にする」という想いを、言葉ではなく空気として伝えてくれる——そんな場でもあります。
挨拶、笑顔、ほんのひと言の声かけが、職場の温度を決めていく。
だから私たちはこう考えます。
「いい現場は、いい空気から」
何気ない1日の始まりにこそ、会社の理念が宿ると信じています。
社員の声に宿る“理念のリアル”
林谷工業ではこれから、「仕事でミスしても、まず声をかけてもらえる」——そんな文化を、さらに深く根づかせていきます。
私は、ミスは恥ではなく、経験の入り口だと考えています。
そして、経験はやがて成功の土台になります。
誰かの失敗にただ目を向けるのではなく、そこから何を学び、どう次に生かすか。
その姿勢こそが、人を育て、組織を育てると信じています。
安心して挑戦できる空気があるからこそ、人は前を向ける。
そんな風土を、社長とともに、そして社員とともに、これからも丁寧につくっていきたいと思います。
理念は過去から未来へ——次世代へのバトン
創業54年、前身企業からの歴史をたどれば100年以上。
「人を育てることが地域を育てる」という理念は、今も変わらず、私たちの軸であり続けています。
祖父が大切にしてきた「シンの強い人」という信念は、技術や資格だけでなく、人としての在り方や、困難を乗り越える力を育む“教育の心”として、今も社内に息づいています。
私たちは、ただ技術を教えるのではなく、姿勢や想いを伝えることを大切にしています。
次世代の社員たちが、またその想いを次の誰かに自然と手渡せるように。
これからも、日々の現場で、理念を背中で伝えていきます。
祖父から受け継いだ想いを胸に
私は、林谷工業の創業者・林谷繁男の孫にあたります。
幼い頃から本当に可愛がってもらい、祖父は一度たりとも私を否定したことがありませんでした。
多くを語る人ではありませんでしたが、そのやさしさと、まなざしの奥にあるまっすぐな信念が、今でも忘れられません。
祖父に連れられて訪ねたさまざまな場所や、観世流の謡曲を愛し、黙々と練習する姿には、祖父の美意識や生き方がにじんでいました。
手を引いて経験させてくれた時間の積み重ねが、今の私の価値観の土台になっています。
私は昭和57年生まれ。
まもなく、祖父が新聞に載ったあの年齢に追いつこうとしています。
そのとき、「自分なりにやってこれた」と思えるように、これからも日々を丁寧に重ねていきたいと感じています。
そんな祖父には、もうひとつ、忘れられない一面があります。
祖父は、たとえドア一枚でも納得がいかなければ、発注元から引き上げ、自ら納得するまでやり直させるような人でした。
「まあ、これでいいか」とは決して言わない。
仕事に対して一切妥協しない、その徹底した姿勢は、子どもだった私の心に深く刻まれています。
思えば、私も今、お客様に向けた情報発信の中で、細かな表現や伝え方に何度も手を入れることがあります。
納得いくまで直さずにはいられない——そんな“しつこさ”も、祖父から受け継いだものなのかもしれません。
祖父の想いに、少しでも近づけるように。
これからも、自分の歩幅で、まっすぐ進んでいけたらと思っています。
それでは、本日もご安全に!