「毎日使っている階段、ちゃんと安全ですか?」
見落とされがちな階段の寸法や手すりの有無が、ご家族の安心に大きく関わってきます。

はじめに

おはようございます!
好きな言葉は「笑う門には福来る」、林谷佳和です。

今日は「階段の安全性」についてのお話です。
松江市や出雲市にお住まいの方、もしくはこれから家づくりを考えておられる方へ向けて、ぜひ知っていただきたいことをお届けします。

実は、最近私自身も「階段でヒヤッとする」経験をしました。慌てて階段を降りようとしたとき、足元がぐらりと崩れるような感覚に。
幸い手すりにしっかりつかまって事なきを得ましたが、「あのとき手すりがなかったら…」と考えると背筋が冷たくなりました。

皆さまのご自宅でも、階段の安全性、しっかり確保できていますか?

先日 お客様との会話の中でも、階段について話題がありました。
「階段の上り下りは疲れるし、この前は転びそうになったに~」
そげそげ、若い頃と比べて、年を重ねると階段の上り下りが、特にしんどくなってきますよね。
先の私のエピソードからも、その変化を身をもって実感します。
階段は毎日のように使うものですから「毎日の階段の上り下りが辛い」なんてことが起きないよう、将来の安心も考えておく必要があります。

階段での転倒事故、実はとても多いんです

階段での転倒事故は、実は決して珍しいことではありません。
全国で報告されている転倒・転落の件数は交通事故のなんと4倍以上!
🔗消費者庁調査結果(PDF)

特に、高齢の方や小さなお子さまがいらっしゃるご家庭では、ちょっとしたつまずきや滑りが、大きなケガにつながってしまうことも。
でも、毎日使っている場所だからこそ、「慣れているから大丈夫」という油断が、ふとした事故につながることもあるんです。

また、近年では間取りの工夫やデザイン性を重視するあまり、階段の寸法が“ギリギリ”で設計されている住宅も少なくありません。
その結果として、蹴上(けあげ=段の高さ)が高すぎたり、踏面(ふみづら=足を乗せる面)が狭すぎたりして、昇り降りが負担になりやすくなっています。

安全のためには、見た目の美しさやスペース効率と同じくらい、「安心して使える寸法・設計」が大切なんです。

安全な階段にするための設計ポイント

蹴上と踏面の寸法バランス

階段の安全性を考えるうえで、ぜひ知っておいていただきたい言葉が2つあります。
それが、「蹴上(けあげ)」と「踏面(ふみづら)」です。
図を見ながら確認していただくと分かりやすいかと思いますが、簡単に言えば──

階段の蹴上と踏面

  • 蹴上:1段の“高さ”
  • 踏面:足を乗せる“奥行き”

この2つの寸法は、階段の昇り降りのしやすさを大きく左右する、いわば“階段設計の肝”とも言えるポイントです。

建築基準法では、住宅の階段に関して「蹴上は23cm以下」「踏面は15cm以上」と定められていますが、これはあくまで“最低基準”です。
実際に快適に使える寸法は、もっと繊細なバランスによって決まります。

たとえば、私たちがご提案する“使いやすい寸法バランス”の目安は──

  • 蹴上:18cm前後
  • 踏面:25cm前後

このバランスにすることで、足がしっかりと乗りやすく、上り下りの動作がスムーズになります。

また、蹴上の高さが1段だけでも違っていると、無意識のうちにリズムが崩れて、つまずく原因になることも。だからこそ、すべての段の寸法を均一に保つことがとても大切なんです。

もうひとつ、覚えておくと便利な目安として
蹴上×2 + 踏面=60cm」という設計ルールがあります。
これは、日本人の平均的な足の運びに合わせた基準で、例えば「蹴上20cm ×2 + 踏面20cm」でちょうど60cmになります。

ただし、この数値はあくまで“ひとつの基準”。
実際には、ご年配の方にとっては蹴上を少し低めに設計する方が足を上げやすく、結果的に身体への負担も減ります。
逆に若いご家族中心の住まいでは、もう少しコンパクトな寸法にするケースもあります。

つまり大切なのは、誰が・どのように暮らすかを考えた上での設計です。
将来のことを見据えて、少しでも安心して暮らせる階段をつくる──
それも、私たちが目指す「やさしい家づくり」の大切な一歩だと思っています。

手すりは両側につけるのが理想

階段の手すりといえば、片側だけについているケースも多いですが、実は両側につけるのが理想的です。
手すりが左右両側にあることで、体をしっかりと支えることができ、バランスを崩しにくくなります。
とくにご高齢の方や小さなお子さまにとっては、「つかまる場所が常にある」ということが、安心感そのものにつながります。
片側だけに設置する場合には、階段を降りるときに利き手側になるように設置するのがおすすめです。
降りるときのほうが転倒リスクが高いため、支える手の位置を考えることが大切です。

最近では、デザイン性の高い手すりや、壁を大きく傷つけずに取り付けられる後付けタイプの製品も増えており、既存の住宅でも導入しやすくなっています。

林谷ホームのリフォーム事例

実際に林谷ホームでも、松江市内のある住宅で階段の両側に手すりを設置するリフォームを行いました。
<作業前写真>

<作業後写真>


覧のように、両側にしっかりと手すりを設けたことで、階段の上り下りに対する不安が大きく軽減されました。
ご家族からは、

「体のバランスが取りやすくなって安心できる」
「トイレに行くときも不安がなくなった」

というお声をいただいています。

また、手すりの素材や色合いも、お住まいの木の内装に合わせてセレクト。
空間になじむ見た目で、安心と美しさの両立ができた仕上がりになりました。

「目立つから嫌だな…」と感じていた方も、こうした自然な仕上がりなら、むしろ暮らしに寄り添うデザインの一部として受け入れやすいのではないでしょうか。

チェックリスト:あなたの階段、安全ですか?

毎日何気なく使っている階段、気づかないうちに「ちょっと危ない状態」になっているかもしれません。
以下の項目にひとつでも当てはまるなら、安全対策を見直すサインかもしれません。

  • 蹴上(けあげ)が 23cmより高い
    → 足を大きく上げる必要があり、つまずきやすくなります
  • 踏面(ふみづら)が 15cmより狭い
    → 足がしっかり乗らず、バランスを崩しやすくなります
  • 勾配が急に感じる
    → 特に下りで体の重心が後ろに傾きやすく、転倒のリスクが高まります
  • 手すりが 設置されていない
    片側だけでも安心感が生まれますが、両側にあると左右どちらの手でもつかまりやすく、より安全です。
  • 階段が暗い、照明が古い
    → 足元が見えづらく、夜間の事故リスクが上がります

不安を感じたら、どうぞお気軽に私たちにご相談ください。

おわりに:住まいの安心は小さな工夫から

階段は、家の中で特別に意識することの少ない場所かもしれません。
でも、毎日何度も行き来する場所だからこそ、ほんの少しの工夫が、大きな安心につながる場所でもあります。

たとえば、段差の高さを少し整えること。
手すりをもう1本増やすこと。
足元を照らす照明を見直すこと。
その一つひとつが、毎日の「上り下り」をぐっと快適に、そして安全にしてくれます。

私たち林谷ホームは、そんな「気づきにくいけれど本当は大切なこと」に、これからも丁寧に向き合っていきたいと考えています。
地域の皆さまの暮らしに寄り添い、安心して、ずっと住み続けられる家づくりを、心を込めてお手伝いしてまいります。

ご不安や気になることがあれば、どんな小さなことでもかまいません。
どうぞお気軽に、私たちにお声かけくださいね。

🔗▶お問い合わせはこちらから

それでは良い1日をお過ごしください。
本日もご安全に!